ビオトープの形態

「特定の生物群集が生存できるような、特定の環境条件を備えた均質なある限られた地域」

ビオトープとはなんでしょうか

最近まで専門家の間でしか使われてこなかったビオトープという言葉が一般の書物や雑誌においても見られるようになり、身近な言葉となりました。当初ビオトープはその先進国ドイツの事例を紹介したとき、湿地の復元等が多く用いられたために、「ビオトープとは人々が作り出す自然」等と解釈されるなど、概念が正しく伝わりませんでした。

「生物学事典」(築地書館)をひもとくと、ビオトープとは、「特定の生物群集が生存できるような、特定の環境条件を備えた均質なある限られた地域」とあり、自然の一単位として考えることができます。その単位はワシやフクロウ等の、生息する自然環境が複雑で広範囲のものから、空き地や庭先に生息するバッタやチョウのような小さなものまで、大小さまざまな大きさで、様々な質のものがあります。

このビオトープを復元しようとする運動が全国各地で、農村等の比較的豊かな自然環境が残っているところや、工場跡地などの人の活動の影響が大きい地域まで様々な場所で行われています。しかし、ある一地域のビオトープを創造・復元しただけなら、それほど多くの生物は生息しません。

ビオトープは独立の状態では、生物にとって十分な生存環境を提供することはできないのです。
しかし、たとえ、一つ一つは小さなビオトープでも、

ビオトープ相互を連絡したビオトープネットワークを形成すると(図1)、多くの種が生息できるようになります。
ビオトープネットワークとは「大拠点(核とも呼びます)」や「小拠点」、そしてそれらを結ぶ「生態的回廊(コリドー)」から成り立ちます。

「大拠点」とはワシやフクロウ等の生態系における高次消費者が生息できる(繁殖可能な)大規模な自然であり、具体的には数十ヘクタール以上の森林や自然湖沼、湿原などがそれにあたります。

「小拠点」とは、孤立した中・小規模の自然空間で、公園や庭、ため池等があげられます。

「生態的回廊(コリドー)」とは小規模・中規模・大規模なビオトープのつなぎに位置し、ビオトープの間の生物の移動を可能にするというものであり、この回廊があれば、ビオトープ間の種の移動が格段に容易なものとなり、異なるビオトープ間で種の交配が起こるなど、自然の複雑さが増し、強固な自然をつくります。回廊の具体的な形としては、河川(河川沿いの緑地を含む)、高速道路や鉄道軌道内の緑地等があげられます。